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銀とその合金

銀とは

 

銀は金、銅の次に発見された金属で色調の美しさや加工がしやすいことから古代からジュエリーの素材として利用されてきました。

 

しかし、銀は融点(960.8℃)、比重(10.5)、希少価値、化学的安定性のどれをとっても貴金属としては最下位です。

 

銀の産出国はカナダ、オーストラリア、アメリカ合衆国、メキシコ、ペルーのビッグ5とロシアが大手で銀の需要はデジタルカメラの普及で写真工業用が日米欧で激減してシルバー・ジュエリー・銀食器用に約2割、そのうち日本は2〜3%程度と少ないです。

 

純銀は、色調の白さ、可視光線の反射率は全ての金属中で最高ですが空気に触れている徐々に変色していくという欠点があります。

 

この変色は空気中の水分や硫化水素と接触することによって表面に硫化銀ができるためであり、酸素と化合して酸化膜ができている(錆び)訳ではありません。

 

純銀の軟化

 

純銀は熱処理で軟化させると25Hv前後にまで軟らかくなりますが、加工すると85Hv〜100Hv位まで硬くすることが出来ます。しかし加工によって硬くした純銀は、常温の中でも月日がたつにつれて徐々に軟らかくなっていきます。

 

この現象は、経時軟化あるいは時効軟化と言い、純金、純銀などの純金属全てに見られます。

 

なぜ純粋な金属は時間経過湖ともに軟らかくなるのでしょうか。

 

顕微鏡で金属組織を見てみると、小さな結晶が集まってそれぞれ特有な組織を作っています。

 

この結晶を作っているのが原子であり、金属の原子が手をつないで並ぶように配列されされて出来たのが結晶です。

 

加工された金属は、結晶の形が変化されてしまい、結晶の形が細長くなり内部に歪みが発生して原子の配列に乱れが生じます。

 

そして金属は乱れた原子の配列を直して再び配列しようとします。再配列作業は常温ではゆっくりですが強く加工されて加工の歪みが大きかったり、気温が高かったりすると早く進行します。

 

夏と冬では気温が違うので季節によって違いがあります。もちろん気温が高い夏の方が早く軟化します。

 

純銀を200℃まで加熱すると金属原子の動きが活発になり加工により変形していた結晶粒子は元に戻り始めて、近隣の結晶粒子とも合体を初めてより大きな粒子になっていきます。

 

この時点へ純銀は25Hvまで軟化しています。

 

常温のままではこれほどの変化はありませんが、1年くらいたつと40Hv位までに軟化します。

 

経時軟化が自然に起こってしまうとなると、ジュエリーに金属を使用する場合に都合が悪いです。

 

そこで何らかの手段を持って常温の時の金属原子の再配列を阻止して、軟化を防ぎたくなります。

 

純銀の経時軟化を阻止する手段

 

@割り金を混ぜて合金にする → 貴金属の品位が低下してしまう。

 

A微量の異物を結晶内部や粒界に介在させて原子の再配列を阻止する。

 

Aの方が有効な手段ですが、微量の添加で軟化阻止の効果がある異種元素を探し出すのはかなり大変なことです。

 

もし適切な元素を見つけることが出来れば、経時軟化を阻止するばかりでなく、硬さを高める効果も期待できます。

 

高い純度を保ちながら硬さがある合金は昔から硬銀と呼ばれていました。

 

銀の変色防止

 

銀は空気に触れると変色してしまうと言う欠点がある訳ですが、その欠点を防ぐための研究が為されて来ました。

 

@金やパラジウムを割り金として混ぜる → 金合金やパラジウム合金になってしまう。

 

A銀が主成分となり、価格にあまり影響しないように金やパラジウムを加える → 変色を防ぐ効果はほとんど無い。

 

B様々な金属を割り金として混ぜてみる → まだ成功例は無い。

 

Cロジウムメッキを施す → 硬くなりキズがつきにくくなるが銀の美しい白さを隠してしまう。

 

銀合金

 

銀を合金にする場合は銅が割り金として良く使用されます。

 

ジュエリー用として古代からよく使われるのは、銀925‰と銅75‰の合金です。

 

イギリスでは12世紀頃からスターリング・シルバー(atarling silver)または単にスターリング、などと呼ばれていました。

 

925の銀合金は経時軟化の逆で、時間がたつにつれて硬くなる経時硬化があります。つまり加工しているときは軟らかく、使用しているありだに硬くなると言う理想的な合金です。

 

その他には銀900‰と銅100‰のシルバー・コイン(silver coin)合金、銀800‰と銅200‰の合金などもあります。

 

銅を増やしていくごとに硬さが増していきますが、黄色味が増してきて銀の品が落ちてしまうのでジュエリー用に向かなくなってしまいます。


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